vol.004
「HOMO DEMENS MAN」発売記念企画!!
HOMO対談
プエル×Boo
(2016年10月某日)



 



3rdアルバム『HOMO DEMENS MAN』発売記念×対談第三弾!!

結成メンバーながら予測不能の男プエル
不敵な笑みを浮かべメンバー内で最も危険な男と言われるBoo。
彼らの出会いから生まれ育った街の話まで
この2人の対談という混乱に乗じて、煌く謎にあの男が迫る!!


(撮影:荒川れいこ(zoisite)、アートディレクション&インタビュー:Shinpei Morishige)




----では、諸君。はじめましょう。


Boo 初めて会ったのは去年(2015年)の8月だね。

プエル 見た目、怖いんだけどすごい優しい人ですね…って、いうのが第一印象です(笑)


----あぁ、あのリハーサルね!FOXPILL CULTがゲスト入れてやった8月の四谷のライブ。僕もその日、ゲストで鍵盤弾いて、あとは甲斐くん(顔がない)もいたね。


Boo そうそう!

プエル えっと、脚立の日ですよね?(笑)見た目とは裏腹にバイオレンスな感じがまったくしなくて安心しました…(笑)

Boo そういう意識はまったくないけど(笑)


----Booちゃんとスタジオに入った時、まず最初にリズム感いいって思った。ね?


プエル うん、それは思った!すっげぇやりやすくて。


----アンサンブル力あるなって。


Boo その時は俺がメタルパーカッションで、甲斐君はグラインダーとかだったよね。スタジオ入る前からプエルの話は少し聞いてて、予測ができないヤツがいるって(笑)でも、会ってみたら野蛮人て感じではなくて安心した(笑)でも、付き合っていくうちに、なんとなく言わんとしてたことがわかった。財布を落とすとかさ(笑)


----だよね(笑)


Boo でもさ、すごく覚えてるエピソードあるんだけどさ。ゲッティには何度か話してるけど、プエルがライブ中にドラムセットのシンバルを叩ききにくるでしょ。あの時、シンバルのスタンドが緩んじゃったのね。俺はライブ中だし、そのくらいのアクシデントは仕方ないなって思って、そのまま続けてたんだけど、次の曲になったらそっとプエルが直してくれてたんだよ(笑)


----あぁ、プエルってそういうとこあるよね〜(笑)


プエル そうかなぁ(照)

Boo その時にプエルはそこ知れぬ器の持ち主だなって関心したよ(笑)


----いい意味でも本当に想定外で、そういうのはちゃんと付き合いを重ねてよく見てないと分からないプエルの良さなのかもね。


Boo おもしろみがすごいある。


----でもそれはBooちゃんもしかりだよ。


プエル 俺も今一番興味あるわ(笑)一番意味がわからない人だからね(笑)特にあれだね、HOMO DEMENS MANのタワレコ特典のHIP HOP音源ね(笑)歌詞とかももちろんそうなんだけど、意外にも音もすごく綺麗なのが入ったり。


----音楽もそうなんだけど、いろんなことに対して幅広く対応できるしね。ホント頼れるよね(笑)


Boo いろいろやりたいんだよ。それをやらせてもらえる環境がFOXPILL CULT。楽しいよ、すごい。みんな音楽的なセンスがあるメンバーだから、すごく驚かされるし刺激にもなる。

プエル BooちゃんはやっぱりDxUxSの実質的なリーダーとしていろいろなことを磨いていったっていうのはある?DxUxSの歴史、知りたい。

Boo 実はね、DxUxSはもともとパンクバンドで。ハードコア。


----編成というか形態は?


Boo ボーカル、ギター、ベース、ドラム。完全クラスト。ボーカルは怒鳴りっぱなしで。今もだけど(笑)


----活動は名古屋中心?


Boo うん。東京に来るにあたって、形態もサウンドも変わっていったの。もともと東京のゴス・インダストリアルのシーンと絡みはあったから、だからそのシーンの中で戦える音にしたくて、打ち込みとかするようになって今のサウンドになっていったの。だから、曲はやりたいことだけをやるっていうよりは、その環境で活動するためのツールだったんだよね。


----シーンで戦うために順応してサウンドが形成されていったんだね。


Boo そう。だから、FOXPILL CULTみたいに幅広くできる環境が嬉しい。一人でやるのも自由でいいんだけど、やっぱりバンドでやるのって面白いなぁって。


----リスナーやメンバーを意識せずに作るのも自由でいいことかもしれないけど、制限があることによって明確に浮き出るパーソナリティっていうのもあるよね。
プエル ホントそうだね。タワレコの特典もユニオンの特典も、HIP HOPとか縛りはあるけど、制約によって個性が浮き彫りになってる。DxUxSは結構長い?


Boo 長い。DxUxSって名前が気に入っているからその名前でやってるだけで、いろいろ形も変わってきてるし。もともとは弟とやってたんだ。で、弟がこの名前をつけて。語呂だけで決めて、あとから意味は考えた。その時好きだったバンドって「SDS」とかそういう名前のバンドが多くて。


----ハードコアとかスラッシュ系のバンドって多いよね。S.O.D(ストームトゥルーパーズオブデス)とか。


Boo そうそう(笑)弟は今は結婚して沖縄に帰ったんだけどね。


----Booちゃんは特にそうかもしれないけれど、どこで生まれて、どこで育って、どこに辿り着いたかって、その人の音楽性に密接に関わってることって多いと思うんだよね。Booちゃんみたいに沖縄〜名古屋〜東京って流れても、環境に順応できるだけの強さとか、折れない芯とかもそうだと思うんだけど。

プエル うん、それはあるね〜!


----ドンと構えてるよね


Boo その方が楽しめるかなって。


----僕はBooちゃんとプエルが出会って同じバンドにいることに不思議は感じないんだよね。


プエル そうだね、俺もそう思ってるよ(笑)

Boo うん、近いところもあるし好きなところもいっぱいあるし(笑)


----ふたりの大らかでドンと構えてるところ、すごく好きだよ(笑)


プエル あっけからん、みたいな?


----うーん、多分それ「あっけらかん」だよ。


プエル あっ、そうか(笑)そういうの俺、多いからさ(笑)

Boo ははは(笑)そういう言葉があんのかなって少し考えちゃった(笑)

プエル でも、やっぱり俺とBooちゃんは熱い国の方の血が濃いと思うよ?

Boo あぁ、そうかもねぇ…。プエちゃんが好きな音楽とかは絶対に関係あると思うよ。


----やっぱりビート感とかは特に関係あると思うなぁ。イメージだけど、二人にはやっぱりビッグで波の大きなビートをすごく感じる。


プエル あぁ、実際関係あると思うし、そういうの好きだもん。1個の小節でビートが決まる音楽より、もっと大きなくくりでグルーヴを捉える音楽の方が好きかも。そう行きたいってのもあるし。


----そっちの魅力を感じるっていうのはそういうことなのかもね。


プエル ゲッティ(Morishige)は絶対に北の寒い方の国の人間て感じするもん。


----たしかに南国生まれには思われたことはないかもなぁ。実際、北欧とか東欧の音楽も文化も好きだしね。


プエル でしょう。


----すごくコンプレックスはあるけどね。北国の風土が生み出す芸術は大好きだけど、やっぱり内省的な気持ちになってしまう。南国の熱気から生まれる芸術ってもっとエネルギーが外に向かってることが多い気がして、僕の小さな悩みとかも吹っ飛ばしてくれる気がして。そういうのって自分の内面からは生まれない要素だから。季節も自分と縁遠い夏が一番好き。あれ?プエル、今あくびした?


プエル いやいや(笑)してないです…(笑)すみません、許してください。


----まぁ、僕の話になっちゃったけど(笑)


Boo (笑)プエルほど色んな音楽を聴いてこなかったから、すげぇ勉強になるし。てか、メンバーみんなすげぇ音楽に詳しいなって思う。


----Booちゃんも詳しいと思うよ?


Boo ツールとしてしか音楽を聴いてない時期が長かったから、自分がやるのに必要な音楽しか聴いてなかったの。


----BooちゃんはライブハウスでPA(エンジニア)の経験もあるし、継続的に活動してるし常に音楽の現場にいるのがすごいよね。そこから聴こえてくるものをオープンマインドに捉えて拒まないし。実はポップなものも好きだったりするし。


Boo そうかも。PAの経験のおかげで色んな音楽を受け入れることが嫌じゃなくなった。それまではJポップとかは聴けなかったし。PAの経験で色んな音楽の良さを見つけられるようにもなって。

プエル 現場主義だよね。

Boo めんどくさそうなバンドが出るときとかは大抵、俺がPAやらされてたよ(笑)


----なんかわかる(笑)なるほどね〜。


Boo ギターウルフさんが来た時、俺がPAやらせてもらったんだけど、中音(ステージ上の音)がデカすぎて外音(フロアの音)を全部下げたもん(笑)でも、すげぇいいライブだった。で、終わったあと、メンバーさんが声をかけに来てくれて「今日、すっげぇいい音だったよ!!」って。俺はたいしたことやってないけどやってないけど、すげえ嬉しかったな。


----そういうのって現場に居続けないと、経験したくても経験できない貴重な体験だよね。


Boo そのおかげで今があるのかもしれません(笑)


----Booちゃんが「あれやだ、これやだ」とか言ってるの聞いたことないしね。


プエル みんな言わない方だと思うけどね。


----僕が一番わがままかな…?


Boo ゲッティはそのままの方がいいと思うな。ゲッティが言わないと、思わぬ方向に行っちゃう時あるからさ(笑)


----僕さぁ、「あれやっちゃダメ、ああしなきゃダメ」とか自分はホントつまらないこと言ってるなって思うんだよね。


プエル でも、ゲッティは「こうしたい」ってのがあるからいいと思うんだよね。

Boo 理にかなってるし、いつも参考になるな。ゲッティの言葉はスっと入ってくる。


----あれ?気を遣わせて僕の話になっちゃったね(笑)でも、2人とも音楽的にも未知のエリアを自分のスタイルに昇華していくことができるよね。それも共通点かな?


プエル やったことないことに対してはそういう風にできるようにしてるかな。


----食わず嫌いをしないってのは音楽的にも大切な要素だと思うよ。僕なんて実は食わず嫌いだらけで、やれることも少ないし。


Boo でも、みんなが何でもありっていうのより、そいういメンバーがいて初めてバランスがとれるんじゃないかな?そうやってバランス取り合ってるんじゃないな。あと、みんな地図見ない(笑)内心「そっちじゃないよ〜(苦笑)」って時よくあるから、そういうとこはこれからはチャチャ出してこうかな(笑)でも、みんな個性あるなってホント思うよ。


----自分たちが子供の頃だったら、他人が自分と違うってことを受け入れることってなかなか出来ない子が多いと思うんだけど。でも、今の僕らってお互いの良さを引き出し合ってるところだと思うんだよね。子供の頃なんて相手の良さ引き出そうなんて思わなかったでしょ?


Boo うん、ないね(笑)考えてなかったよね、そんなこと。

プエル いじけてばかりだった気がする。


----そんな本当の班長みたいな子供、なかなかいないよ(笑)僕はいつも班長で班をカオスに陥れてたけど(笑)でもさ、あらためて考えると「班長」っていうポジションてかっこいいな…響きとか。


プエル 社会に出る前のスケールの小ささを感じるよね(笑)


----多分さ、小学生というか、生まれて一番最初になることができる「長」だと思うんだよね(笑)人をまとめるのを、小学生に任せるっていうね(笑)しかも僕だよ?でも、まともな班長なんて見たことないよ(笑)特に僕の班はいつもドンチャン騒ぎで楽しかったとは思うよ(笑)


プエル 楽しそうだな(笑)記憶力の悪さには定評ある俺はほんとんど覚えてねぇわ(笑)


----どんな小学生だったの?


プエル 暗かったかなぁ。嫌なことも多かったし。他人と違うことがあったりするのがきつかったなぁ。

Boo 子供頃ってちょっとした違いとかって気になるよね。大人になってからは気にしないようなことでも子供にとっては大きかったり。


----他人と違うってことに対してコンプレックスを抱かずにはいられないんどよね、子供の社会って。僕も髪の毛がストレートヘアじゃなくて天然パーマなのがすごくコンプレックスだった。すごく小さなことなのに、それですら他人にどうこう言われるが嫌だった。


プエル 子供って違うものに何でも興味を持つからね。俺もそういうのが嫌だった。


----自分の名前すら嫌いだった。選んでもいないのに勝手につけられた個性を受け入れたくなかった。


プエル 「心平」っていい名前じゃん。


----今ではなかなか気に入っているんだけど、姓も名も嫌いで全然違う名前になりたくてさ。でも、自分からだけは一生逃げられないのも知ってらから、意地でも前を見て笑ってたかな。まぁ、今日は僕の話はいいよ(笑)


Boo はは(笑)プエちゃんのタワレコの特典すごく好きだよ。少し影を感じたんだよね。

プエル 自分の生まれた故郷っていうと愛憎が混じってしまうよね。


----僕もプエルと地元が近くで、なんとなく景色が浮かんでくるな。


プエル 高層の団地が多くて、たまに人が死ぬんだよね。


----陽気で広い公園なんだけどね。


プエル 綺麗な公園だけど、一見すると闇なんて見えないんだけど、家がない人もいたり、人が飛び降りたり。


----ガチガチのゲットーじゃないからこそ、子供の頃はそういう非日常が際立って感じたのかもね。日本有数の団地があってさ、もともと米軍が在留していた時の居住区で、すごく広くて綺麗に見えるんだけどね。


Boo へぇ、じゃあ団地フェチにはたまらない感じだね?写真かなんかで見たことあるかもな。

プエル うん、結構ファンも多かったと思うよ。写真に撮るとホント綺麗だから。


----だからか、事故があったりすると際立つよね。街が凍り付くようなね。


プエル ホントそうだね。際立つ。


----海外のスラム街のような場所なら人が死ぬことが日常でそれを受け入れざるを得ない残酷な環境を強いられるのかもしれないけれど、一応東京だからね。でも、本当にすごくマンモスみたいな団地の街で色んな人がいたんだろうね。僕はすぐ近くの戸建てのキャッスルに住んでいたんだけど、友達と遊びに行くのもスーパーに買い物行くのもそこだったから。


プエル そんな中でも、鬼ごっことで遊んでたし。地面には人の形をした白線とかが引いてあったりね。事故現場だったんだろうね。なんか陽気さとは裏腹の一種の不気味さがあったな。虚無感もあったな。


----それと同時に子供にとっては白線の意味なんてわからないから、気にせず踏んで無邪気に遊んでただろうし。


プエル 街にたくさん人はいるのに無機質な街で誰も何考えてるのかわからなくて少し怖かったな。

Boo 俺も名古屋に来てからは団地だったんだよね。いろんな人がいたなぁ。結構アウトな人が多かった(苦笑)事件とかもあったりして。そっちと時代はちょっと違うけど、やっぱり色んな人が集まっていたなぁ。今では綺麗になったみたいだけど。

プエル だから団地って今もノスタルジックな気持ちになるんだよね。

Boo 中学の時、俺はバンドに目覚めたんだけど、楽器欲しくて新聞配達のバイトしてたんだけど、早朝の団地ってすげぇ暗くて。電灯がチカチカしてたりして怖いんだけど、それとは別に上の階の方に行くと、怖い先輩が酩酊してたりして、そこはその人の家じゃないのにさ(笑)なんかそんな思い出ばっかりだから、団地って聞くと今でも昔を思い出して萌えるよ(笑)


----ワンダーランドだね(笑)


Boo って、これなんの話だ(笑)


----まぁ出自の話、面白いからいいけど(笑)


Boo そっか、でも大人になると本当に見方が変わるね。

プエル 俺もずっと生まれた街にいたいって思ってた。


----大人になったら外の世界も知るしね。子供の頃ってケータイがあるわけでもなかったし、目に見えて自分の足で行ける場所が全てだしね。


プエル うん、精神的にもそうだよね。ゲッティはどんなだった?


----相当カッコよかったよ(笑)


Boo ははは(笑)写真、ゲッティの写真ホントかわいいからな(笑)

プエル 美しかったよね(笑)


----なんで過去形なんだよ(笑)そこは今が一番て言ってよ(笑)でも、好きなものも周りとはちょっと違うっていうマイノリティが少し嬉しかったかなぁ。みんなと同じっていうだけで興味を持てなかったし。いわゆる中二病だよね(笑)


Boo じゃあ俺も中二病だったかも(笑)

プエル Booちゃんはバイトでお金ためて結局楽器は何にしたの?

Boo 最初はギターのつもりだったんだけど、学校を卒業するときに友達とセッションでライブするってなった時にみんなギター買うからさ、俺はドラム買おうってなったわけ(笑)


----みんなギター買う現象あるね(笑)


Boo 最初に買ったのはYOSHIKIさんのモデル。知ってる?


----もちろん知ってるよ!中学でそんなの持ってたら人気者じゃない?


Boo でも、団地だよ?(笑)

プエル ははは(笑)


----音がデカ過ぎるよね(笑)


Boo 下の家の人が「ごめんなさい、朝から叩かれると子供が泣き止まなくて…」って(笑)でも、今思ったら、それこそアウトだよね(笑)


----Booちゃんがね(笑)へぇ、でも寛容な環境だね。


プエル 最初の楽器、ドラムだったんだ。すごいなぁ。

Boo しかも団地でね(笑)ツ−バスだし。


----なかなかドラムって自分で持てる環境ってラッキーだよね。


Boo 全部で30万円くらい。一年間で新聞配達して貯めた。


----中学生だよね?その時点でちょっと普通じゃないしカッコいいな。


プエル うん、熱量がすごいね。

Boo 冷静に考えたりしなかったし(笑)音楽に出会った時に楽しいことをやっと見つけたって思った。それまで俺も暗くて、ずっとこのまま続いていくような虚無感があった。音楽を通じて友達が増えたり、外に発信するっていうことができるようになったり。だから、最高のツールを手に入れたって気持ちになった。それまで何やっても楽しくなかったし。


----僕もね、もし僕に音楽がなかったらって思うんだよね。実際になかった時期もあるし。本当に音楽に出会えてよかったって言いきれるよ。最初はテレビや雑誌ン見てボーカリストに憧れてたんだけどね(笑)


Boo ゲッティなら今からでも良いボーカリストになれるよ(笑)


----ありがと、なれるかな?(笑)プエルの入り口は?


プエル 実は子供の頃、一瞬ピアノやってたんだよね。ホントにすぐ辞めちゃったんだけど、鍵盤自体はそのあとも触ったりしてたんだよね。それくらいしか暇つぶしがなくて。


----フェードインだ?


プエル そう、完全にフェードイン。ゲッティみたいに何かに衝撃を受けてとかじゃないんだ。あっ、でもジャズバイオリンをテレビで観たときは、かっこよくて感動したなぁ。


----ブラックミュージックなんだね。


プエル そうだね。ロックとかはあんまりわからなかった。今の方がよくわかる。

Boo ジャズバイオリンなんて、おしゃれ過ぎだろ…。全然通らなかったな(笑)


----で、プレイヤーとして楽器に目覚めたのはいつなの?


プエル それで、バイオリンを買ってもらったのはいいんだけど、団地の中でドラム叩くような勇気は俺にはないからさ(笑)全然練習できなくて


----ギコギコ響かせてやりゃあいいのに(笑)


プエル そうなんだけどさ(笑)でも、人一倍に恥をかくことを恐れてしまうところがあって。


----周りの目を気にしていたんだね。


プエル うん、そうだったなぁ。結局、バイオリンは全くものにならなかった。でも、軽音部入って。そこで、グリーンデイとか。その中にカントリーとかも好きな奴がいて。ボブディランとかも好きで。


----へぇ、がっつりトラッドミュージックだねぇ。


プエル そいつは今、バンジョー奏者になった。そいつからいろいろと好きな音楽聴かされてさ。その時、俺は鍵盤だった。あとは周りとヴィジュアル系のコピーもやったりしたし。もしかしたら、その頃と今は感覚が近いかもしれないな。みんなあれやりたこれやりたいで無差別にやっててヴィジュアル系やりたい人もいればポップスやりたい人も洋楽やりたい人もいて一緒にやってた。


----うんうん、中学生ならではの、ちゃんぽんだね。


プエル うん、完全にちゃんぽん(笑)


----中学生とか音楽に出会いたてならではの雑多性だよね(笑)その時期を過ぎると、自分の好きなものを見つけて、良くも悪くも自分の聴くべきものを限定していまって狭くなる時期あるでしょう。で、その時期も過ぎると全部どうでもよくなって、良いものは良いってなって何でも聴けるようになって、僕は今ようやくそうなってきたかもしれないなぁ。


Boo あぁ、そうかもね(笑)俺は中学の時、最初はXのコピーバンドだったんだけど。ジギーとかジキルとかもやったり。それと一緒にラフィンノーズやったりブルーハーツやったり。


----エレキギターってころ以外、共通点なくてもニュートラルな感性でやれるのが、バンドを始めたときの楽しさでもあるよね。「無謀と書いてBooとも読む」


Boo ははは(笑)

プエル 熱いね(笑)でも、さっきゲッティが言ってたようなポリシーが邪魔するような時期を越えてないと、今みたいにやれてないかもね。今はホントに昔のやりだした頃の感覚に近くなってきてる。


----あの時、素直に良いと思ったものって今聴いても良いって思えるし。その感覚に逆らう必要もないし。一回全否定することがあっても結局は帰ってくると思うな。


プエル そうなんだよね。


----自分の過去のルーツも受け入れられるようになるし、人が好きなものに対しても受け入れられるようになったんだよね。昔なんて「お前、そんなダセェの聴いてんの?黙ってザ・スミス聴いとけよ!」みたいな偏屈な性格だったけど(笑)逆に今は人が好きなものにこそ興味が出るんだよね。あたらしいものを知りたくてさ。


プエル その頃のゲッティの感じ、すげぇ想像つく(笑)


----で、優越感と共に深まる孤独感ていうね(笑)


プエル でも、「これ聴いてないヤツはクソ」みたいな時期はあるよね(笑)


----多分さ、高校の時、ジョイディヴィジョンが好きだったのって高校で1000人くらいの内で僕1人とかだったと思うんだけど、きっと学校の他のヤツらも何かで1000分の1だったと思うんだよね(笑)みんながそれぞれ特別ってことをわかってなかったんだ…。


Boo あぁ、なるほどね(笑)

プエル そういうのあるよね。で、高校に入って軽音部に誘われて、ボウイやルナシーとかキッスもやったりしたよ。


----楽器は?


プエル その時はベース。初めていった外タレの公演はキッスだったよ。武道館。外タレ以外では、そのさっきの中学のカントリーとか詳しいヤツといったムッシュかまやつさんと堺正章さんのいるスパイダース。Booちゃんは?

Boo 友達と行ったりしてたのは、Xとかジュンスカとかブルーハーツ。


----環境いいね


Boo いつも色々音楽を教えてくれるヤツがいて、そいつからも打ち込みのやりかたも教えてもらったんだ。最初はリズムマシーンで。徐々にシンセ音とかもできるようになって。それがあったから続けてこれたのかな。必ず中学でも高校でも「これ知ってる?」って教えてくれるヤツに出会えて、それによって聴くのも広がったし。


----常に道しるべがいるんだね。DJ Michi-Silve(†13th moon†)みたいなね。


Boo ん?(笑)その名前は聞いたことあるな(笑)


----今度、DxUxSの企画に出るよね!(11/19深夜 DxUxS主催 BLVS@渋谷チェルシーホテル)


プエル 俺は学生の当時、流行っていたものが全部だめだったから全部自分で見つけるしかなかったからなぁ。高校の時はHIP HOPが流行っていたんだけど、やっぱりダメだったなぁ。うちの高校、頭髪厳しかったから坊主が多くて、ファッションもHIP HOPにこじつけててさ(笑)全然、みんなが何言ってるのかわからなかった(笑)まだ、その頃は能動的に何かを聴いたことなかったよ。金もなかったから中学の時に買ったコンピをずっと聴いていた。バイトして金が使えるようになってからだね、いろいろと掘りはじめたのは。

Boo 俺はそのあとに自分から聴きだしたのはナパームデスとかかな。


----うわぁ、いかにもBooちゃんだね(笑)コアなところいったね!


プエル そこから聴くあたりからして怖いもん(笑)

Boo デスとか。メタリカはそのちょっと後かな。


----メタルの中でもエクストリームなところが好きだったんだね。


Boo うん、そうそう。


----エクストリームドージョーっていう、そっち系のメタルイベントがあったの知ってる?


Boo あったねぇ!(笑)一回行ったわぁ!すげぇイベントだったね(笑)


----全バンドがスラッシュコアみたいなバンドだから1バンド目から首が吹っ飛ぶくらい疲れるんだよ(笑)


プエル 聴く側も相当疲れるヤツだ(笑)

Boo もたない(笑)


----そのジャンルに興味ない人からしたら全バンド同じ曲をやってるようにしか聴こえないよ、多分(笑)


プエル フルメタル野郎(Morishigeの不定期無料配布マンガ)を描いてるだけあって、ゲッティもメタルに詳しいな(笑)ハードロックとかも詳しいしね(笑)ギターに出てるよね。


----ニューウェーブに次ぐ、大きなルーツのひとつだなぁ(笑)


Boo 好きそう(笑)


----メタルってさ、日本において絶対に固定の需要が存在し続ける稀有なジャンルだよね。


Boo 絶対に好きな人が減らないしね。

プエル そしてずっと誤解され続けているという…(笑)


----そうだね、常に多くの人に白い目で見られてもいるしね(笑)


Boo でも、好きな人の団結感は強いよね(笑)ネタにされたりするし、勘違いされてるし(笑)俺も勘違いしたまま聴き始めたし。


----でも、やっぱり食わず嫌いはしないんだね。僕は洋楽だけしか聴かない時期もあったりしたし、洋楽って言っても色々あるのに海を渡って来てるってだけで興味を持てたり。今はまた邦楽も洋楽も好きだけどね。日本にも素敵な音楽はたくさんあるし。


Boo 俺もそうだった時期はあるよ。その時に聴いた洋楽がメタルだったのかな。洋楽って言えば、メタルだった。

プエル ドイツ人のヤツにファウスト知ってるか訊いたら全然知らなかったこともあるよ。クラッシュ知らないイギリスの若い人もたくさんいるみたいだし。


----自分の国の音楽だから知ってるってものでもないんだろうね。外の国だからこそ、興味を持てたり、背伸びして掘ろうとするのかもね。最近やっとニュートラルに音楽を捉えられるようになったなぁ。僕は何も知らない自分が聴いていいと思った音楽が一番好きだよ。知識も色眼鏡もいらないものが好きだなぁ。なんか今更なんだけど、どう考えても今日、僕が一番しゃべってるよね?(笑)


Boo ゲッティはそれでいいんだよ(笑)

プエル そうそう(笑)




Interview:Shinpei Morishige


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