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vol.00000000000000006
「異邦人」発売記念企画!!
西邑卓哲
x Shinpei Morishige (2020年1月某日)





6thアルバム『異邦人』発売記念×対談第一弾は
西邑卓哲(Vo&Gt)とShinpei Morishige(Gt&Synth)
アルバム「異邦人」制作から明日開催となるレコ発2マンまでを語ったロングインタビュー!!

<Shinlpei Morishige x 西邑卓哲>


―アルバム「異邦人」発売ですね。異邦人ってなんですか?


西邑(以下、西): 友達の家の犬の名前とかじゃん???あとは異国の人とか見知らぬ人、別の社会から来た旅人みたいな。
英語だとstrangersとかalienとかもそうなのかな。
1st Albumのジャケットにもその言葉が入っていたり結構ずっとテーマにある言葉なんだけど、今こうやって時を経て改めてその言葉が相応しいアルバムの歌詞が出来たというか。

どれだけ人が溢れていても故郷がここにないような、何か寂しい疎外感みたいなものから何かを作り出したり衝突する愛を1stの頃は歌にしようとしているところもあって、FOXPILL CULTっていう名前自体、異端者への薬って意味で付けたからまあその延長戦上だったかな。

その疎外感やあれこれっていうのは当時は個人の心境から生まれたものだったんだけれど、今回はもっと社会的というか社会の不穏な部分や様々な価値観に翻弄される愛の形を俯瞰して宇宙人が無機質に撮影したようなアルバムで。
何人もの人生をコラージュして無声映画にしたてあげたような。その声のない映画の画面から叫びが聞こえてくるようなアルバムが作りたかった。天才だね。


―これは通算何枚目ですか?


西:FOXPILL CULTとしては6枚目かな。


―Morishigeさんとしては何枚目?


Morishige(以下、M):当然俺は(キャラは)二枚目だよ。


―いや、三枚目じゃなくて?(笑)実際は四枚目のアルバムですね。どうですか?今に至るまでで結構変わってきましたか?


西:俺的には本質的には今回が一番変わった気がするんだよね。でも一番王道っぽい作品だとも思うのよ。


―ああ、それはすごく思います!


西:外から見たら一番「っぽい」なぁって思うかもしれない。でも実は俺が今まで一度も作ったことのない要素も入っていて。そこがモリッシーとの共同プロデュースで産まれた部分。今回のアルバムは、モリッシーに「こんなタイプの曲をFOXPILL CULTはやったら似合う」「こんな雰囲気がやりたい」っていうある種の枠を一番最初に提示してもらって、

それに対して俺は「それを踏まえてこんな曲を作ってみたんだけど」って提示して、そこでまたモリッシーから感想をもらって、っていう応報の中で土台が生まれたんだけど、それと並行して高澤くんとふなもっさんが正式加入したことで足腰が鍛えられて最もバンドの身体性が強くなった作品だと思う。
その影響で俺は俺でボーカルとして舞踏や詩に近づいたり。
この作品に至るまではメンバーが流動的だった時期も長かったけれど、遂に4人メンバーが揃ったことで今までとは作り方も違って。


―具体的にはどう違う?


西:ストレートだと思うんだよね。今までは演奏で勝負っていうより結構実験的というか遊びが多くて天邪鬼なのがFOXPILL CULTっぽさだったと思っているんだけど。
でも今回は4人でバンドで音出してかっこいい音になるか否かを一番大切にして曲を作ったし、でも最終的には俺も一番遠慮せず曲が作れた。この感覚は1stの頃以来で達成感があるな。


―Morishigeさんとしても今回はやっぱりメンバーが流動的だった今までと雰囲気違う?


M:違うね。もちろん変わらない部分もあるけれど。今回はこの4人で出すことを前提にケビンちゃんは作曲してると思うから、メンバーが曲に対してどうアプローチしてくるかを大切にしてる。
今回はメンバーの持つポテンシャルを引き出しているところが違うと思うな。今までって割とあくまでも曲のためにメンバーが弾くていう要素が強かったんじゃない?特に僕が加入する前の初期の頃とか。


西:うん、特に初期はそうだったね。そもそも弦楽器隊もいなかったし、2ndアルバムまでの音源は実質ソロ作品みたいな状況でさ。それがモリッシーが加入したことで「バンド」という概念が再び染み込んできて。
それは俺の作品や独自性に対する考え方とは違う部分もあれば、彼から学んだ感性も沢山あって。だからそこからは試行錯誤の繰り返しで。

今回象徴的なのは「Aの葬列」っていうアルバム一曲目が打ち込みを一切使っていない初めての音源で。あと俺が最後の2曲でしかギター弾いてないんだよね。
話し合ったわけじゃないんだけど、あえてギターは弾かないでおこうって思った。とにかくギターはモリッシーに任せたし演奏はメンバーに任せた。その方がロマンティックじゃんみたいな。

M:それは僕は大切なことだと思った!メンバーそれぞれが自分の出す音に責任を持つことを大事にしたくて。「このバンドのギターは僕しかいない。このバンドのベースは君しかいない。このバンドのドラムは君しかいない。君の音がなければ曲は成立しない」っていうのが大切で、
その最たるものがケビンちゃんの歌で、「君のボーカルがなければこの音楽は誰にも伝わらない」っていうバンド哲学があってさ(笑)
だから何が何でもケビンちゃんがフロントマンを張ってほしかった。メンバーひとりひとりそのくらい背負って弾いたものを形にしたかった。そこかなぁ、今回は。例えば逃げてしまうかもしれないメンバーに弾いてもらうための曲と全力で曲に向き合うメンバーのために作曲するのって違うと思うし、出す音も絶対に違ってくると思う。


西:うん、違う。


M:ケビンちゃんに背負わすだけじゃなくて俺も背負うから。高澤君もふなもっちゃんも背負って音を出してくれるし。思い入れもそう。それがバンドの音になるっていうのを信じてたかな。でも、本当に信じることができたのはこのアルバムが初めて。


西:俺の個人的な話でいえば、良い意味で完全に想定外なことがあって。モリッシーにギターを全て任せるってなって俺の思考に空きができたんだよね。今回はレコーディング期間自体は短かったけど、ボーカリストとしての自分が出てきたりとか、歌詞に没頭できるようなリソースがあって、
初めてボーカリストとして作品に関わった気がした。
そうなれたのは演奏をメンバーに任せることで「演奏はこの人達がやってくれるから俺は歌だけ歌ってりゃいいや」って感覚に初めてなれたんだよね。


―わかります。任せたら思考が空くっていうの絶対に今ありますね。


西:前はいつも頭のどこかで上手くいっていない箇所は自分の演奏を足そうとか打ち込みを入れてバランス取らなくちゃとか常々考えていたけれど、今はメンバーが良い演奏してくれるだろうと信じている。
このメンバーになってこのアルバムを作るまでに4人でそれを築き上げた一年間があったと思うんだよね。


M:たしかにそれも含めてアルバム制作期間とも言えるかもなぁ。


西:結構それはデカいと思っててこのメンバーでやった一年間があったから、制作にもすぐ入りこめたし。より自分自身や作品に向き合えて出てきた言葉が沢山あるなって思った。
だから今回は昔と同じかそれ以上に言葉が強いしリアルなまま残せた。それにすごくエネルギーが外に向かっていると思う。曲調も歌詞も暗いけどね(笑)
でも最近はステージングとかもすごく変わったと思うし。なんか体格まで変わったし(笑)


M:イアンマッケイ(Minor Thread)とかヘンリーロリンズ(ex.BLACK FLAG)風になった?


―あそこまでガチムチじゃないでしょ、イギーポップ的な(笑)


西:今はFOXPILL CULTのライブではギターを弾かないから、トータルで考えた時に毎日FOXPILL CULT用にギター練習していた時間を「筋トレでもすっか」って(笑)


―ここ最近、この前のライブの今日のリハもそうだったけどバンドの音がまとまっていて曲に勢いを感じますね。


西:最近すごく歌いやすくなった。


M:時間をかけてメンバーが互いに出す音を体が感覚的に理解しあってきたのかもね。


―ちなみに西邑&Morisige共同プロデュースって何がきっかけで?Morishigeさんから「おい、やらせろよ」って感じ?(笑)


M:違うよ(笑)


西:俺は今作は明確に共同プロデュースで作ろうと思ってて。やっぱり俺とモリッシーって共通する価値観は沢山あるのに違う部分は正反対な関係性こそが特殊だとも思っていて。でも何年も二人で過ごした経験なのかな、お互いの要素をもっともっと識別つかないくらい噛み砕いて
一緒にやれたら絶対に面白いものができるとも思ったんだよね。わからない感性は訊いてみようって思ったし。そこで俺もすごく芽生えるものがあったし。


M:恋愛感情?


西:芽生えたらいいんだけどね(笑)


―両方イケる感じですか!?


西:いや、そういうことではないんですよ!


M:共同プロデュースかぁ。もしかしたらケビンちゃんの良さをケビンちゃんより僕の方が知っているかもしれないと思うんだよね。例えばケビンちゃんが無自覚でやってることでも「そこが良いんだよ!」っていうのがたくさんあって。これは絶対に残した方がいいとか、
今まで思っていたことを全部ぶつけたんだよね。この間までメンバーも俺と2人だけだったし失うものももうあまり残されてないし人生として後悔のないものを残したくて。

毎度思ってることなんだけど今度こそ最後の作品になってしまうかもしれないし。そのくらいの気持ちをメンバーみんなが持てる作品にしたかった。みんなが後悔しない作品。ただバンドがやりたいだけで、そもそも僕は芸術的なマインドの人間じゃないと思う。

でも聴いてくれる方の中にも、この作品が人生最後のCDになる方もいるかもしれない時代でしょう?だから、このアルバムを選んでくれた方にも後悔させたくないし。もしかしたら僕らも次作から配信でしかやらなくなるのかもしれないし。だから、「関わる人全員が後悔しないアルバムとは何だろう?」って考えた。


―めっちゃいい話…


M:でも難しいのが、こればかりは自分だけの気持ち一つでどうこうなるものでもないからさ。いかにメンバーに自分と同じ過去最高の熱量を持ってほしくても、仲よしこよしとかって強要するものじゃあないと思うから。だからメンバーひとりひとりがモチベートするきっかけをプロデュースしたかった。
音楽的な部分ではケビンちゃんが秀でてると思うし。僕はケビンちゃんのボーカリストとしてのポテンシャルを知っていたから好きなようにやれるような場所を作りたかった。それはできたかな。


西:うん。そうだね。ところで俺のことを二度とケビンと呼ばないでくれるかな???おれタカアキだし。
まあなんにせよ、モリッシーの一押しとプレッシャーがなかったらギターを置いて歌に専念するっていうのは絶対やらなかったと思う。
俺もプロデューサー的な役割をやることはよくあるけれど、モリッシーもプロデューサーとしての能力を持っていて。特にモリッシーは音以外の要素を音に関連付けることが出来たり、誰よりもバンドマン的な思考だとも思うから、
どういう時にバンドの良さが生まれるのか、どういう時にバンドが解散するのかも知っていると思う。だから今回はモリッシーから作品を生む最初の一歩を欲しかったんだよね。「どんなバンドになりたい」とか。
俺がそれを絶対に形にするからお前の最初の一言をくれ!!!!みたいなさ。
その問いに対するモリッシーの最初の返答が種になってこのアルバムに花が咲いたと言っても過言ではないというか。

共同プロデュースは具体的には共同作業ってよりは最初と最後に凄く長い想いを込めた手紙を交換し合ったような感じかな。
最初の彼の提示から着想を得て作ったのが「PSYCHO FUTURE」と「人間窟」あたりで。それを絶対ブレない基準にして俺視点で違う角度から「異邦人」や「かりそめの恋」「shooting by aliens」を作ったり。
最後のミックス作業も核となる曲の仕上げは一緒にやって。


M:たしかに僕のわがままから始まった曲も結構あったね(笑)「こういうのがやりたーい!!」って。コテコテの8ビートのロックとかね!


西:ビートロックは俺に一番ない要素だった(笑)。ルースターズとかはめちゃくちゃ聞いてたけど!


M;「ここでキメが入って、ここでドカーンっていくの!」


西:「なるほどね!」みたいな。


M:「ここがビートロックなんだよ!こうした方がケビンちゃんの良さが出る!」とかね(笑)


西:一回徹底的に教えてもらって(笑)
やっぱり好きな人って好きなモノを語るとき、すごい情報量を持っているじゃない?好きな人からその音楽を訊くのが一番面白いというか。魅力がわかる。


M:たしかに、本人が良いと思ってないモノを理屈で説明されてもガツンとくる説得力ないと思う。


西:「これをやりてぇ!」みたいなパワーがなきゃダメなんだよ!


M:絶対にこの音楽性なら全員が良さを出せると思ったんだよね!


西:だから今回はすごくモリッシーにも引っ張ってもらった感はすごくあるんだよ。レコーディング終盤はもう俺もバンド云々より作品に没頭してどんどん内側に潜っていくんだけれど、それでもバンドだとやっぱ周りに気を使ったりしてしまうのね。
本当は作品を重視するならそれは超駄目なことなんだけど。でも今回は「これだ」って確信して俺自身が信じる作品作りに突っ走れたのはモリッシーとの対話と高澤くんとふなもっさんとで固めた最初の土台があったから。
で、ズレたらまた最後はモリッシーがなんとかしてくれるだろうって思ってて(笑)。それも含めて信じよう、みたいな。

M:僕もそんなことを思ってた(笑)ほら、アルバム最後の曲「宗教テープ」とかは最後の最後までアレンジが決まらず難産だったじゃない?でも僕はケビンちゃんのことを信じてたから、どんな風に着地しても後悔なかったと思う。


―いい話ですね。
レコ発企画の話になりますが、このタイミングでキノコホテルの2マンの意図は?


西:んーと長くなるやつだね!!!基本的には色々な有難いご縁が重なったり皆さんのご尽力のお陰ですね。
最初はメンバーにいつか対バン出来たら嬉しいバンドっている?って何気なく聞いた時にお名前が出たんだよね。「それは俺もやりたいけれど!」みたいな。
でも対バンしたこともないし、いきなりオファーするのも変だよな〜とか思っていたんだけど丁度U.F.O CLUBの24周年記念だったり色んな縁が重なってご縁を頂きまして。


―対バンは過去にありませんでした?


西
厳密に言うとあるけれど、でもそれってFOXPiLL時代の事実上最後のライブが某イベントの前座で、そのメインアクトの一つがキノコホテルだった時の1度だけ。


―因縁深いですね


西:うん!!全然深くない(笑)!!!!!!うちはそのあと瞬時に解散してるしさ、超一方的な思い出ですね(遠い目)!!結局、そこから0からのつもりでまた音楽を始めるんだけど悔しいことも沢山あってさ。
でも逆にここから這い上がってやろう、活動を続けて良い作品を作ってやろうみたいな気持ちがあって。だからこうやって再びご縁を頂ける機会は個人的にはめちゃくちゃ嬉しいですよね。
それは今回DJをしてくれるナオヒロさん率いる†13th Moon†に対してもそうだし、どんな形や度合いであれ昔ご縁があったバンドと再び縁が産まれるとめちゃくちゃ嬉しいの。


―シーンや音楽的な繋がりはどうですか?


西:シーンで考えると多分すごく意外な組み合わせだと思うのだけれど、意外と俺にも昔在籍したバンド経由で残っているガレージ、ロックンロール、サイケだったりってのがあったり、U.F.O CLUBや青い部屋に出ていたり
モリッシーならPLASTICZOOMSにいた頃に、ふなもっさんなら蛸地蔵で対バンしていたり
逆にキノコホテルにはメンバーさんがニューウェーブ詳しいんだろうなみたいな気配があったりとか、パブリックイメージではあまりフィーチャーされてない部分とかも凄く魅力的で、もし実現したら音の幅的にも面白いなと思ってて。
今回は特にナオヒロさん(†13th Moon†)がDJとして間を繋いでくれるから、よりその形が見えやすくなると思うし。
なんだけどやっぱFOXPiLL最後のライブでの思入れもあって、間違っても気軽な気持ちでオファーは出来ないというか、てかもし本当に実現したらさ、前のバンドのジンクスで考えるとうちら解散するじゃん!!!!


―そういう以前にご縁があったバンドとアルバムのレコ発って良いスタートですね。


西:うん。こうやってご縁を頂いたことが本当有難いですよね……これも応援してくださった皆さんのお陰なので感謝を忘れず頑張ります。
新譜の歌詞とかは「くたばれ!!」ばっか言ってるけど。


M:(レコ発の趣旨に対して)じゃないと先に進めないってことだよね。


西:うん、そうだね。それに俺さ、健康診断を18年くらい受けてないことに気付いたんだけど。大丈夫かな。



-レコ発から始まって今後のスケジュールは?



西&森:2/4がDEATHROとのWレコ発2マン。2/15にはドムスタでスタジオライブ企画、2/28にワンマンやって



-そっからツアーで関西行って横浜行ってですよね。



西:うん。楽しみだね。みんなに会えるかな。あと健康診断ってどういうタイミングで受けたらいいと思う?最近なんか気になっちゃって。



(セルフ対談、後編へ続く!!!!!!)




-interview:高澤瑛


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